KMCがやって来たぜ!HIP HOPしようぜ!!
という沸点MAXなシャウトと共にライブを始めるでお馴染みの自称矢吹ジョーの隠し子、KMCの登場。
俺のビートメイカー人生の初期から現在まで、実に17年に渡って繋がり続けてる数少ないMCの1人。この男のラップスタイルに関してはとにかく一回聴いてみてもらうしかない。感情の爆発をそのまま表現しているような男だが、リリックをよく読むとかなりのリリシストであり、US HIP HOPをリリック面からも理解して聴いてる(STUTS曰く「教養がある人」)。そしてそもそもSTUTSを紹介してくれたのもKMCなので、結構俺の人生に深く食い込んでる男である。
一部のヘッズの間では絶大な人気を誇り、KMCの代表曲の一つとも言える「東京WALKING」は21歳ぐらいの時に作ったビート。ネタは有名どこのまんま使いだしビートも薄汚れてて酷い物だが、未だにライブで歌ってる事には毎回グッとくる。というかそもそも、この年齢になっても「理由なんかねぇけど!HIP HOPが好きだぁ!」と叫べるアイツを見るのはグッとくる。理由なんか要らないよホントに。かと思えば「地球は新聞紙に丸めこまれてる 歴史はただの伝言ゲームだったぜ」といったラインもさらっと出たりする計り知れない男だ。
このままKMCの魅力をひたすら書き綴りたいとこだがアルバムの話を。
俺のアルバム用にって事でビートを渡したのは確か春過ぎぐらいだった。KMCのアルバムにも何曲か作るって話をしてる最中に切り出して歌ってもらう事になった。実はその時のトラックは今と全く別物だった。ジャズをサンプリングしたかなり渋い曲。哀愁漂うって意味では共通してたけど。KMCが俺に求めてくるトラックは大体厳つい曲なのだが、俺としてはメロディアスでゆったりした曲で熱く歌うKMCが結構好きなので、その方向性でやってもらう事にした。
それでリリックを書いて来て、仮歌が来てびっくり。一曲まるまる恋愛について歌うKMCは初めてだ。しかしそれでも「恋は天ぷらそばのように運ばれてくるもんだと思っていたが」など、まぎれもないKMCによる語り口も盛り込まれてる。
そのトラックのままレコーディングして、後はこっちでブラッシュアップする段階に来てまさかの難航。仮で組んでた時は着地が見えてるつもりが、どうやってもしっくり来ない。他の曲が出来て並べた時にそれは一層強まった。どうも渋過ぎる。単曲としては悪くない感じに出来そうだったが、このまま詰めてもアルバムの1パーツとしては微妙になりそうだった。そこで思い切って全部作り直す事にした。要するに誰にも発表してない内にREMIX決行。そこからKMCのラップだけを流しながら色々作ったが、あまり上手くいかない。その間にも他の曲はドンドン進む。少々焦り始めた頃、電車移動してる時にアプリで遊びながら作っていたビートが中々良い出来で「これもしかしたらハマるかも」と思って、帰って試しに嵌め込んだら上手くいった。同じネタを使ってMPCで作り直し、現在の形に落ち着いた。
そしてこのレイドバック感を出す重要な役割を果たしてくれたのが、M2のThe Lightでも参加してくれたえいちゃん。この曲のベースはえいちゃんが弾いている。こちらは1曲通して弾いてもらったフレーズからいくつかチョイスしてループさせる方法を取った。一発たりともまともな場所にビートが無いこの曲のグルーブをいい感じに取りまとめてくれたのだ。シンセベースとか打ち込みの生ベースだと中々このムードが出ないのだ。
紆余曲折あったけども、今までKMCと作って来た曲の中でもかなりお気に入り。この曲がきっかけでKMCの魅力が伝わったりしたら嬉しいなぁ。そしてライブがこの男の真髄でもあるので、是非一度観て喰らって欲しい。
これからも変わらずやってこうぜ、KMC!
KO-ney – The Light
1 Movin’ on ft.岩崎慧(セカイイチ)
2 The Light ft.Ei kikkawa(The Roomies)
3 高二(一留) ft.呂布カルマ
4 Anger
5 Krush ft. DJ Hiroking(Bron 2 Funk)
6 amy feat.ぜったくん
7 Circulate KO-ney&STUTS
8 春はまだか ft.KMC
9 Blue Moment ft.Tamotsu LeftGroove
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