メーカー協賛型ビートパフォーマンスバトルイベント「KING OF FLIP」お疲れさまでした!
ラッパー黄猿くん、ダンサーKODEE ONEくんと共に審査員&ゲストライブという形で参加しました。
まず言えるのは、正直舐めておりました。想定していたレベルを遥かに越える強者の16人が集合。
場所柄もあってHIP HOPに寄るかと思いきやジャンルも多岐に渡り、それぞれが信念を持って挑んでました。重要視していた「音楽としてカッコいいか」という点をクリアしつつ独自の世界観を展開するプレイヤーも多い。
正直審査するの超しんどかったです。
ホントは当日に全員の総評を語っていくつもりだったが、フルボリューム&悩み過ぎてそんな時間がなかったのでここに書き綴る事にしました。
まずは前編として、惜しくも予選通過を逃した12人のプレイヤーの話からしていきます。
もしかしたらもっと長いパフォーマンスだったり、現場違ったりしたら印象がガラっと変わったであろう人も居ましたが、あくまで「大会ルールである2分間」「多くのお客さんが入ったクラブのステージ」という状況下を鑑みて書いてます。
そしてこれはあくまで俺の総評というか感想であり、黄猿くんやKODEEくんはまた全く違う視点を持っていたので、これが絶対に正しい意見だと捉えないようにして欲しい。正解などありはしないので。
それでは早速いきましょう。良かった点と悪かった点を淡々と書いてます。
※数字はエントリーナンバー
🏆KING OF FLIP🏆
🌹予選 2人目🌹
STAKUS (@stakus_works )#KING_OF_FLIP #MPC pic.twitter.com/gmL5YeA5En— MPC SQUARE JAPAN (@MPCSQUAREJAPAN) June 14, 2022
⭕️良かった点:1曲のアカペラを駆使したREMIXの方向で攻めた点。己の表現したいサウンド感が明確にあった。
😐気になった点: ラップのアカペラを使うと難易度が上がることもあってか、ビートキープ出来ていない場面が多過ぎた。ハードなHIP HOPを期待させる曲だったので、それならば低音がもっとガンガン出したり、音作りをしっかりこだわった方がカッコ良くなると思った。
🏆KING OF FLIP🏆
🌹予選 3人目🌹
ITBUDSHIT MUSIC (@inocchi51)#KING_OF_FLIP #MPC pic.twitter.com/Xy4ueujoZd— MPC SQUARE JAPAN (@MPCSQUAREJAPAN) June 14, 2022
⭕️良かった点: 2曲分繋いでいてそのどちらとも歌謡曲系のいいネタのチョイスをしていた。楽曲構成そのものは悪くなかった。
😐気になった点: ビートキープに難あり。2曲分演奏していたが、いずれも出だしでかなり走ってしまい、安定するまでかなりの時間が掛かっていた。ドラムを叩かない場面を作ってBPMを掴む構成にしても良かったかも。ビートの抜けは良かったものの、プリセットをそのまま持ってきたような印象が強く、もっと上ネタに質感を寄せる必要があると思った。
🏆KING OF FLIP🏆
🌹予選 4人目🌹
北森正樹 (@masakikitamori )#KING_OF_FLIP #MPC pic.twitter.com/6MRxEKUe6f— MPC SQUARE JAPAN (@MPCSQUAREJAPAN) June 14, 2022
⭕️良かった点: ドラムに振り切っているお陰で、フィンガードラム演奏のスキルという一点で言えば間違いなく今大会随一。生ドラムを理解しているからこそ出来るパフォーマンスだった。
😐気になった点: 良かった点と対になるが、ドラムに振り切り過ぎた。ドラムソロのパフォーマンスで見せられることは見せていたが、永遠とギターソロだけをやっている感じで、音楽を演奏するという意味ではあまりに淡白だったと思う。
🏆KING OF FLIP🏆
🌹予選 5人目🌹
サンハイツ208 (@heights208)#KING_OF_FLIP #MPC pic.twitter.com/N4stl997zy— MPC SQUARE JAPAN (@MPCSQUAREJAPAN) June 15, 2022
⭕️良かった点: 16パッドをフル活用してベロシティを細かく分けた和太鼓プレイはオリジナル。声ネタを上手く使ったブレイクもスリリング。
😐気になった点: 和太鼓を経て始まった本編とも言える楽曲のクオリティに難あり。ダンスミュージックにしてはあまりにもビートや低音の厚みが足りず。ドラムソロっぽい構成は面白かったがやはり音の厚み不足と感じた。プリセットそのままっぽい質感だったのでもう少しサウンドへのこだわりが欲しかった。
🏆KING OF FLIP🏆
🌹予選 6人目🌹
KB (@K_Beats00)#KING_OF_FLIP #SP404 pic.twitter.com/j3dQrOdkp8— MPC SQUARE JAPAN (@MPCSQUAREJAPAN) June 15, 2022
⭕️良かった点: まさかのSP404SXでフィンガードラムプレイ。叩いてるビートはシンプルながらSP特有のエフェクトをいい按配で駆使していていいグルーヴだった。上モノの質感にもこだわりを感じた。
😐気になった点: 1曲の中でやれる事を突き詰めていたものの、ほぼこの1ループで2分は少し長く感じた。もう1曲分用意して別の世界を見せて欲しかった。このジャンルで勝負するにはキックの低域ももう少し胸に響いてほしい。その二点がクリア出来ていたら間違いなく予選突破していた。
🏆KING OF FLIP🏆
🌹予選 7人目🌹
NicoRina (@nicorinabeats)#KING_OF_FLIP #MPC pic.twitter.com/COgi66WPPR— MPC SQUARE JAPAN (@MPCSQUAREJAPAN) June 15, 2022
⭕️良かった点: 「新譜っぽい音を使う」ではなくしっかり「現行のクラブミュージックを作る」を今大会において唯一実行出来ていた。US直送サウンドのカッコ良さへの理解度は高い。途中でベースラインのプレイを挟んだのも面白く、身振りや視線でお客さんを意識した動きを入れいたのもパフォーマンスとして良い。
😐気になった点: Trapは16分をかなり正確に刻まないとカッコ良くならないのだが、その安定感が足りなかった。特に後半、32分の要素も入れて複雑かつ派手にしようとしたと見受けられるがやはり安定せず悪い意味で「一生懸命プレイしてる感」が出てしまった。ならば16分や3連符だけでクールに突っ切る方がカッコ良かったかも。音の鳴りは基本的に良かったが、ここぞという時に迫力が足りない場面もあった。
🏆KING OF FLIP🏆
🌹予選 8人目🌹
村上 力也 (@riki_murakami )#KING_OF_FLIP #Maschine #MIDIFIGHTER pic.twitter.com/VUSOM1bfs5— MPC SQUARE JAPAN (@MPCSQUAREJAPAN) June 15, 2022
⭕️良かった点: MaschineとMIDIファイターの2台使いで挑み見栄えは抜群。曲のジャンルも4つ打ちのチップチューンで振り切って他の出場者にはない要素で攻めいた。このジャンルだとビートキープの難易度は高いがそこもクリアしていた。
😐気になった点: 2台使う必然性をあまり感じなかった。パッドの数を活かして一瞬全く違うビートになったりしても良かったと思う。上ネタの鳴りの迫力はあったものの、ビート(特にキック)の低域やボトム感があまりに足りず乗る事ができなかった。もっとドラムキットの一音一音へのこだわりが欲しかった所。
🏆KING OF FLIP🏆
🌹予選 9人目🌹
taico倶楽部(@taico0419)#KING_OF_FLIP #MPC #Maschine pic.twitter.com/TH3ioRdnKF— MPC SQUARE JAPAN (@MPCSQUAREJAPAN) June 15, 2022
⭕️良かった点: 2人組での出場はルール上OK。HIFANA直径スタイルで、長年のキャリアに裏付けされた圧倒的リズムキープとパーカッションプレイは今大会でぶっち切りの技術を持っていた。ブレイクダンサー好みの踊れるグルーヴ。
😐気になった点: ほぼリズムのみというのはさすがにストイック過ぎた。序盤で和楽器の上モノが飛び出していたので、もっとああいったメロディが入った音楽が聴きたかった。ビートだけでなくメロディでも盛り上げる、というような感じで。
🏆KING OF FLIP🏆
🌹予選 10人目🌹
kzt (@fingerdrumer )#KING_OF_FLIP #MPC pic.twitter.com/bDhrxKiaL7— MPC SQUARE JAPAN (@MPCSQUAREJAPAN) June 15, 2022
⭕️良かった点: 今大会ぶっちぎりの音数の少なさによる表現はオリジナルと言えよう。原始的な電子音と隙間だらけなリズムをキープするのは難しいがそれをちゃんと実行出来ていた。
😐気になった点: 音数が少ない曲は、一音一音の音のカッコ良さで勝負しなければならない。それを演奏するにはキックが弱過ぎた。上モノ達も一音のみで目立って聴くには頼りない。普通の楽曲以上に一つ一つの音にもっと時間を掛けて磨き上げる必要がある。
🏆KING OF FLIP🏆
🌹予選 11人目🌹
INNTANA (@INNTANA_ONE)#KING_OF_FLIP #Maschine pic.twitter.com/NNFU9vA1b3— MPC SQUARE JAPAN (@MPCSQUAREJAPAN) June 15, 2022
⭕️良かった点: 今大会唯一の、演奏せずに作ってきたビートを鳴らすスタイル(再生ボタンは使ってないのでルール上OK)。俺が事前に言っていた「サンプラー=フィンガードラムバトルではない」を体現してくれた。質感や空気感、低音感が決め手になるBoom Bap HIP HOPスタイルの出場者の中で圧倒的にカッコ良かった。
😐気になった点: フィンガードラムをしないにしても展開が少し乏しかった。もっと積極的に音を抜いてハッとする瞬間を作ったりとか、唐突に全く違うノリの曲になってまた戻ったりとか、楽曲をそのまんま流すなりのパフォーマンスが欲しかった所。前述の質感や空気感は良かったものの、武骨なミックスバランスが悪い方に転んでいる気もした(特に2曲目に掛けた曲)。
🏆KING OF FLIP🏆
🌹予選 13人目🌹
Ness (@Nesseschakra)#KING_OF_FLIP #MPC pic.twitter.com/erVrn4pVRo— MPC SQUARE JAPAN (@MPCSQUAREJAPAN) June 15, 2022
⭕️良かった点: 今大会ぶっちぎりのバイブスと世界観で会場を圧倒していた。アブストラクトに浮遊したイントロに忍耐強く時間を掛けて一気に爆発させる構成が良い。ボディトリックまでして体全体で演奏する勢いは一番バトルらしく、サンプラーが持つやさぐれ感と破壊力を大いに発揮していた。
😐気になった点: 良くも悪くもカオス。バイブス優先過ぎて曲の体を成していない時間が長くそのまま終わってしまった印象。最後に再び前半の世界観を取り戻すような展開になったら、ぶっ壊れた展開も全て含めて高度な音楽になった気がする。
🏆KING OF FLIP🏆
🌹予選 15人目🌹
空蝉 (@momiji_grlz)#KING_OF_FLIP #MPC pic.twitter.com/u8jQ3kMgYM— MPC SQUARE JAPAN (@MPCSQUAREJAPAN) June 15, 2022
⭕️良かった点: 声ネタで煽る始まり方は往年のターテブリストのマインドを感じて俺は好きだった。途中でピッチが一気に下がってフィルターのLFOをトリッキーに掛けて雰囲気を変えていくアイディアも良かった。
😐気になった点: ハイハットとスネアの高域がキツ過ぎて耳が痛かった。これは他の出場者の中にも居たが屈指の痛さだった。リズムキープにも厳しいモノがある。キックももっとドッシリしていた方が曲の印象に合うと思った。
以上、予選で激突した16人中12人の総評でした。
繰り返し「低音が足りない」という言葉を使いましたが、もちろん低音がガンガン出てれば最強という事ではなく”そういう曲なら出てた方が良い”というニュアンスです。
良かった所だけ書こうとも思いましたが、それでは何故予選通過出来なかったのか納得いかないと思って、俺があの時感じた事をオブラートなんぞに包まずストレートに書きました。この日のためにどれだけ準備して努力したかぐらいはパフォーマンスを見れば解るのでその信念は受け止めてます。その上での俺からのメッセージ、ぐらいの感じで出場者の方々には受け止めて貰いたいです。
雑にまとめますと、
お客さんいっぱいのピースな空間で丁度いい緊張感の中ライブしてプレイヤー同士でワイワイ出逢えたからそれだけでいいんじゃねぇの!!
という感じです。
次回は準決勝以降の総評!