前回までのお話はこちら👇
スイスでライブした話①
スイスでライブした話②
スイスでライブした話③
スイス3日目の昼過ぎ。目が覚めると腰と膝が大層痛んでいた。
心当たりはある。あり過ぎる。
昨夜大会が終わった後。中打ち的なアフターパーティーがキャパ150人ぐらいの小さなクラブで行われることになっていた。そこでも30分ほどライブをする事になっている。朝からフル稼働で疲れてるかと思いきや、ハイにさせる要素が満載な1日だったため圧倒的スイス・ハイになっていた俺はまだまだ演奏したかった。疲れ知らずで荷物を引いて会場からクラブまで歩いて向かった。
午後23時を回った頃のヌーシャテルの街はほぼ寝静まっている様子。静かなバーや24時間のマクドナルドがひっそりとオープンしているが人は殆ど居ない。
なんだか俺の地元の街みたいで正直こんなんで人が集まるもんなのかと思った。裏通りの隠し扉みたいな裏口から俺たちはクラブへ入った。
軽いリハを終えてオープンすると、君達何処に居たの?ってぐらいの人で埋め尽くされた。
クラブの支配人らしき人と挨拶すると「配信見てたよ!すげえなあんた!」って言いながら無限に酒を奢ってくれた。
DJの選曲も絶妙に古くて、2000年代初頭の俺ドストライクな曲も連発(Twistaとかクラブで聴いたの十数年振りだぞ)。
久々に楽しくて疲れは体に響き始めてたが絶好調で騒いでた。
映画でよく見るこれでワイワイ遊んだりもした。このお姉さん達ものすげえ上手かった。上手いとかあったんだコレ。
ビールと言えばドイツというイメージだが、ここスイスの生ビールも(銘柄は全然知らないけど)めっちゃ美味い。
お陰で出番の2時過ぎには「せっかくだから映像残しとこう」なんて考えも彼方に消え去って気付くとフルパワーで演奏を始めていた。
日本で30分ライブする時は途中でクールダウンする曲を挟んだりして起承転結のあるライブをした方が良い。疲れさせず飽きさせずの工夫をこらすのもまた楽しみというものだ。だがこの現場では全く違った。最初から最後までブチ上げて踊らせる事を強烈に求められていた。当初その空気に気づかず、中盤で緩いR&BのREMIX何かを演奏し始めたらあからさまに「そうじゃねぇ!今はクラブのピークタイムだろ!?ブチ上げろよ!」って感じのリアクション&ジェスチャー&罵声を喰らった。なるほどという事で緩い曲は1分ほどで強引に切り上げて再びぶっとく踊れる曲を演奏。対応は的中しみんな大喜びで踊りだす。君達元気過ぎるよ。
そんなエネルギーに当てられてバイブスが最高潮になった俺は、最後の曲で手摺によじ登ってDJブースの上に無理矢理腰掛けて見下ろすようにして片手で演奏した。
このDJブースのガラスのとこに座ってた。
フロアの熱気が最高潮になる中、凄まじく不自然な姿勢で足がプルプル痙攣しながらラストまで叩ききったのだった。
そんな訳で、その時は酒も入ってたので気づいてなかったが、相当不自然な姿勢だったらしく下半身がまぁまぁ痛い状態で朝を迎えた訳である。
不思議と二日酔いは無かったが、半ば足を引き摺るようにして会場入りした。
今日はサウンドチェックも無く夕方からの出番だったので、とりあえずランチを食いに食堂へ向かう。そこで忙しそうにパソコンに向かうArturに会って今日の詳しいタイムテーブルを尋ねた。初日もそうだったが分単位のタイムテーブルが分かるのは直前になってからという慌ただしさだ。即席で作ったような紙一枚のタイムテーブルを渡されてランチのカレーを突きながらそれを眺める。
で、ゾっとする。
やる事がぶっちぎりで増えてるというかまたも聞いて無い要素満載。シンプルに言うと仕込んで来た曲の量では全然足りない。2日共全て違う曲を演奏しても余るぐらいの曲は用意してきたがそれでも足りない。その時ちょうど向かいに座ってきたDJ Viranteにまたアドバイスを求めた。
昨日は5vs5の形式だったが本日は2vs2のチーム戦によるトーナメント形式。お互いのチームが交互にムーブするので、1vs1が終わって次のダンサーが来たら即座にビートを変えるのが通例。事前に聞いていた話では俺は2戦分、つまり都合4,5曲分あれば足りる話だった。それが8戦分に増えていた上に、DJによるとその場のバイブスによっては一回戦につきもう1ターン発生するケースもあるそうだ。
本番まで後2時間ちょっと。
この間に新たな曲を5つか6つほど仕込む必要が出てきた。
OKOK。一旦一服してから考えていこう。
to be continued⇨